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【ばけばけ・おむすびと比較】風、薫るは朝ドラ歴代でどの位置?

長瀬 結衣 長瀬 結衣 • 更新: • 公開: • 読了約 11 分
目次

『風、薫る』の13.8%という期間平均は、前作と比べると明確に低い。一方、過去の朝ドラ全体で見ると、極端に珍しい数字というわけでもない。

前作『ばけばけ』との視聴率比較

ビデオリサーチの関東地区データでは、次のような差が確認できる。

- 『ばけばけ』:世帯15.2%、個人8.4%
- 『風、薫る』:世帯13.8%、個人7.6%

世帯・個人ともに1.4ポイント低下した。『ばけばけ』は全125話で、初回16.0%、最高16.5%、最終回15.5%。一方、『風、薫る』は初回14.9%から始まり、中盤で16.9%まで上昇したものの、期間平均では前作に届かなかった。

ここで注目したいのは、最高視聴率だけなら『風、薫る』が『ばけばけ』を上回っている点だ。

『ばけばけ』の最高世帯視聴率は16.5%。『風、薫る』は16.9%で、0.4ポイント上回った。

つまり、瞬間的な注目度では前作を超えたものの、半年間を通じた平均的な視聴習慣を獲得する点では苦戦したという構図になる。

『おむすび』との比較ではどうか

2024年度後期の『おむすび』は、橋本環奈主演で世帯平均13.1%、個人平均7.4%だった。

『風、薫る』は世帯で0.7ポイント、個人で0.2ポイント上回っている。

したがって、単純に「朝ドラ史上最低水準」と片付けるのは正確ではない。『おむすび』よりは高い数字を残している。

NHK朝ドラ歴代視聴率で見る13.8%の意味

ビデオリサーチの歴代一覧では、2009年前期『つばさ』も期間平均13.8%。同年後期『ウェルかめ』は13.5%だった。

期間平均だけを数値順に並べると、『風、薫る』は『おむすび』の13.1%、『ウェルかめ』の13.5%に続く、歴代3番目に低い水準で、『つばさ』と同率となる。

ただし、2009年の2作品は総合テレビの放送時間が午前8時15分開始であり、現在の午前8時開始とは条件が異なる。視聴習慣や調査環境も変化しているため、順位だけで作品の価値を決めることはできない。

【なぜ視聴率が伸び悩んだ?】作品のテーマと評判を検証

朝ドラ風薫る視聴率
低視聴率の背景にあった3つの要素

『風、薫る』の視聴率が低めに推移した理由として、放送コラムニストの高堀冬彦氏は、作品の題材と序盤の構成に注目している。

特に考えられる要素は次の3点だ。

1.主人公のモデルとなった人物の知名度

一ノ瀬りんと大家直美のモデルは、大関和と鈴木雅という看護の先駆者たちだ。

歴史上重要な人物である一方、放送開始前の一般的な知名度は高くなかった。広く知られた偉人や文学作品を題材にした朝ドラと比べると、視聴者が物語の背景を理解するまでに時間が必要だった。

高堀氏も、2人に関する既刊書籍が少なかったことを序盤の苦戦につながる要素として指摘している。

2.ダブルヒロインの物語が序盤では別々に進んだ

見上愛と上坂樹里がそれぞれ主人公を演じる構成は、従来の朝ドラとは異なる挑戦だった。

ただし、序盤ではりんと直美の生活や境遇が別々に描かれたため、2人の関係性を軸に物語を楽しめる段階まで時間がかかった。

2人の人生が交わり、同じ目標に向かって進むようになると、物語の中心が見えやすくなる。

3.看護と生死を真正面から扱った物語

第1週では、りんの父・信右衛門がコレラで亡くなる展開が描かれた。

看護師を志す動機として重要な場面だったが、物語の冒頭から重いテーマを扱ったことも、視聴者によって評価が分かれる部分だった。

一方で、人の命や看護の意味を正面から描く姿勢は、作品の独自性にもつながっている。

これらは作品を分析するうえでの要素であり、視聴率低下の原因を一つに断定できるものではない。

中盤で評価が変わった理由

序盤の苦戦から状況が変化したのは、りんと直美の関係が深まり、看護の現場で直面する問題が具体的になってからだ。

看護婦養成所での学び、患者との向き合い方、女性が職業を持って自立することなど、物語のテーマが明確になった。

加えて、佐野晶哉が演じる島田健次郎、通称シマケンの登場も話題を集めた。

週刊女性PRIMEは、シマケンへの関心がSNSで高まり、第48回の最高視聴率更新に至る中盤の盛り上がりを紹介している。

『風、薫る』の評判と評価は賛否両論

視聴率と視聴者の満足度は必ずしも一致しない。

産経新聞系のemogramが最終回当日の公式Xへのコメント95件を分析したところ、ダブル主演や脚本、演技を評価する意見が見られた一方、現代の医療現場へ移るラストシーンについては、唐突さを感じる意見も確認された。

また、最終回では、りんと直美が築いた看護の精神が現代の看護師へ引き継がれていることを示す演出が採用された。

この結末には、半年間の物語を現代につなぐ試みとして肯定的な反応が集まった。

一方、作品全体の展開については、もっとエピソードに起伏が欲しかったという見方もある。

つまり、『風、薫る』は視聴率の数字だけでなく、歴史的な題材への共感、ダブル主演の構成、最終回の演出など、評価のポイントが分かれた作品だった。

【見上愛・上坂樹里と実在モデル】作品を理解する人物関係

『風、薫る』はNHK連続テレビ小説の第114作。明治時代に看護の道を切り拓いた2人の女性をモチーフにした作品である。

人物関係を整理すると、作品の中心が分かりやすい。

- 見上愛:一ノ瀬りん。大関和をモチーフにした主人公。
- 上坂樹里:大家直美。鈴木雅をモチーフにしたもう一人の主人公。
- 大関和・鈴木雅:明治時代の看護の先駆者で、トレインドナースの歩みを象徴する実在人物。
- 佐野晶哉:島田健次郎(シマケン)。中盤の物語を盛り上げた登場人物。
- 松園武大:制作統括を務めたチーフ・プロデューサー。

この作品の特徴は、単独のヒロインの成功物語ではなく、異なる背景を持つ2人が看護という共通の仕事を通して成長する点にある。

また、実在の看護史を背景にしているため、娯楽作品としてだけでなく、女性の職業的自立や医療の歴史を考えるきっかけにもなった。

視聴率だけでは測れない配信での視聴実績

2026年10月6日に公表された視聴状況には、もう一つ注目すべき数字がある。

NHK ONEでの全130回の平均再生回数は57.6万回。最も多かったのは6月25日放送の第64回で、116.9万回だった。

また、総合テレビのリアルタイム視聴とタイムシフト視聴を合わせた期間平均視聴人数は1399.7万人。BS放送も含め、重複を除いた総合・BS合計では1640.6万人だった。

ここで注意したいのは、視聴人数と再生回数は別の指標だという点だ。再生回数は延べ回数であり、同じ人が複数回視聴する可能性もある。

それでも、リアルタイム視聴率だけでは捉えきれない視聴者の接触があったことは確かだ。

【朝ドラ風、薫るの視聴率】に関するよくある質問(FAQ)

Q1:『風、薫る』の初回視聴率は何%?

A1:2026年3月30日放送の初回は、関東地区の世帯視聴率14.9%、個人視聴率8.3%だった。

Q2:『風、薫る』の最終回視聴率と期間平均は?

A2:2026年9月25日放送の第130回は世帯14.5%、個人8.0%。全130話の期間平均は世帯13.8%、個人7.6%だった。

Q3:最高視聴率を記録したのは何話?

A3:6月3日放送の第48回。世帯16.9%、個人9.4%で、放送期間中の最高記録となった。

Q4:『ばけばけ』より視聴率が低かった?

A4:はい。『ばけばけ』の期間平均世帯視聴率15.2%に対し、『風、薫る』は13.8%。1.4ポイント下回った。

Q5:総合視聴率は何%だった?

A5:関東地区の期間平均で世帯17.8%、個人10.1%。リアルタイム視聴だけでなく、タイムシフト視聴も含めた数字だ。

Q6:『風、薫る』は朝ドラ歴代ワースト作品なの?

A6:ワースト作品ではない。期間平均13.8%は歴代の低い水準に位置するが、『おむすび』の13.1%や『ウェルかめ』の13.5%を上回っている。2009年前期『つばさ』と同率の13.8%だ。

2026年前期の朝ドラ『風、薫る』は、初回14.9%、最高16.9%、最終回14.5%、期間平均13.8%という結果で全130話を完走した。

前作『ばけばけ』の15.2%には届かなかったものの、『おむすび』の13.1%は上回っている。中盤には第48回で番組最高を更新し、タイムシフト視聴を含めた期間平均の総合視聴率も世帯17.8%に達した。

視聴率が伸び悩んだ序盤には、歴史上の人物の知名度やダブルヒロインの構成、重い物語展開といった要素があった。一方、中盤以降は2人の関係性や看護の現場を描く展開が注目され、最終回には現代へ受け継がれる看護の精神が描かれた。

【プロの結論】『風、薫る』を評価する際には、期間平均13.8%という数字だけでなく、最高視聴率、個人視聴率、総合視聴率、配信再生回数を分けて見ることが欠かせない。リアルタイムの数字では前作に及ばなかった一方、配信を含む視聴実績や作品テーマへの反響には、別の評価軸が存在する。

2026年の朝ドラを振り返るうえで、『風、薫る』はテレビ視聴率と配信時代の視聴行動の違いを考えるうえでも興味深い作品となった。

主なデータ出典:ビデオリサーチ「NHK朝の連続テレビ小説」歴代視聴率一覧、NHK発表の視聴状況、日刊スポーツ、MANTANWEB、JBpress、週刊女性PRIME、産経新聞系emogram。数値は特記のない限り関東地区。

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コンテンツディレクター 長瀬 結衣
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