2026年11月現在、世界陸上の男子棒高跳びで世界の頂点に立つのは、スウェーデン代表のアルマンド・デュプランティスです。2025年9月15日、東京・国立競技場で開催された世界陸上男子棒高跳び決勝では、6m30をクリア。自身14度目の世界記録更新と世界選手権3連覇を同時に達成しました。
さらに記録は東京大会で止まっていません。2026年3月12日、スウェーデンのウプサラで6m31を成功させ、自身の世界記録を再び更新。これがキャリア15度目の世界記録更新となりました。東京で話題になった6m30は、現在の世界記録6m31につながる歴史的な跳躍だったのです。
【2026年最新】世界陸上男子棒高跳びの現在とデュプランティスの記録

男子棒高跳びの中心人物となっているのが、1999年11月10日生まれのアルマンド・デュプランティスです。愛称は「モンド」。アメリカのルイジアナ州ラファイエットで生まれましたが、母親がスウェーデン出身であることも背景に、スウェーデン代表として国際大会に出場しています。
世界陸連の選手プロフィールでも、男子棒高跳びの世界記録保持者として掲載されています。オリンピック2連覇、世界選手権3連覇という実績を持ち、2026年も競技の第一線で活躍しています。
東京大会から2026年までの主な記録- 2025年6月15日:ストックホルムで6m28を記録。
- 2025年8月12日:ブダペストで6m29を記録。
- 2025年9月15日:東京世界陸上で6m30を記録。自身14度目の世界記録更新。
- 2025年10月22日:世界陸連が東京大会の6m30を正式に公認。
- 2026年3月12日:ウプサラで6m31を成功。15度目の世界記録更新。
- 2026年9月11日:ワールド・アルティメット・チャンピオンシップで6m20を跳び優勝。6m32の世界記録挑戦は成功しなかった。
2026年3月の6m31は、東京大会で自ら樹立した6m30を1cm上回る記録です。世界陸連は同年7月にこの記録を公認しています。
特筆すべきなのは、デュプランティスが単に一度だけ高い記録を出した選手ではないことです。2020年に初めて世界記録を更新してから、記録を1cmずつ引き上げ続けています。世界記録の更新を一過性の出来事ではなく、継続的な競技目標として実現している点が、彼の大きな特徴です。
37大会連続優勝から40大会連続優勝へ2025年9月の東京大会で、デュプランティスの連続優勝は37大会に到達しました。最後に敗れたのは2023年7月のモナコ・ダイヤモンドリーグで、この大会では4位に終わっています。
その後も勝利を重ね、2026年6月7日のストックホルム・ダイヤモンドリーグまでに連勝は40大会に伸びました。しかし、地元スウェーデンで行われた同大会では、オーストラリアのカーティス・マーシャルが5m90を成功させて優勝。デュプランティスは5m80で2位となり、長く続いた連勝が途切れました。
この結果は、37大会という数字を現在の連勝記録と混同しないためにも重要です。東京大会で37大会、2026年6月のストックホルムで40大会。記録の節目を時系列で捉える必要があります。
【2025年東京世界陸上】男子棒高跳び決勝で何が起きたのか
2025年9月13日に予選、15日に決勝が行われた東京世界陸上。男子棒高跳びの舞台は、2021年東京オリンピックでもデュプランティスが金メダルを獲得した国立競技場でした。
4年前に初めてオリンピックの頂点に立った場所で、今度は世界選手権3連覇と世界記録更新に挑む。会場に集まった観客にとっても、単なるメダル争いを超えた特別な競技となりました。
6m30は最後の挑戦で成功したデュプランティスは5m55、5m85、5m95、6m00、6m10、6m15をそれぞれ成功させました。6m20をパスした後、6m30に挑戦します。
最初の2回はバーを越えられませんでした。しかし、3回目の挑戦でついに成功。公式競技記録にも、6m30の試技は「XXO」と記載されています。これは2回失敗した後、3回目に成功したことを意味します。
世界陸連の公式発表によると、この跳躍でデュプランティスは人類史上初めて6m30の壁を突破しました。優勝を決定づけただけでなく、自身の世界記録を1cm更新する14度目の快挙となりました。
東京大会の男子決勝・上位選手と結果| 順位 | 選手 | 国・地域 | 記録 | 主な意味・実績 |
|---|---|---|---|---|
| 1位 | アルマンド・デュプランティス | スウェーデン | 6m30 | 世界記録更新、世界選手権3連覇 |
| 2位 | エマノイル・カラリス | ギリシャ | 6m00 | 6mを成功させて銀メダル |
| 3位 | カーティス・マーシャル | オーストラリア | 5m95 | 自己ベストタイで銅メダル |
| 4位 | サム・ケンドリックス | アメリカ | 5m95 | シーズンベストで4位 |
| 5位 | ティボー・コレ | フランス | 5m90 | 上位争いに加わる |
| 6位 | ソンドレ・グットルムセン | ノルウェー | 5m90 | 上位入賞 |
この決勝で注目したいのは、2位のカラリスも6m00を成功させていることです。デュプランティスの圧倒的な強さだけでなく、6m級の選手が複数そろう競技水準の高さが示されました。
世界陸連の大会統計では、5m90以上をクリアした選手が7人に達しています。また、同一大会で4人が5m95以上を成功させたのは歴史上3度目でした。
世界選手権3連覇の意味デュプランティスは2022年のオレゴン大会、2023年のブダペスト大会、2025年の東京大会で男子棒高跳びの世界選手権金メダルを獲得しました。
東京大会の優勝によって、世界選手権3連覇を達成。さらに2021年の東京オリンピックから続く主要国際大会でのタイトル獲得という意味でも、圧倒的な実績を積み重ねています。
同じ国立競技場でオリンピック金メダルと世界選手権金メダルを獲得したという点も、東京大会を象徴するエピソードです。
【歴代世界記録】男子棒高跳び6m31と屋外・室内の違い
男子棒高跳びの歴史は、選手の身体能力だけでなく、競技用ポールの進化と密接に結びついています。
現在の世界記録は6m31。2026年3月12日にデュプランティスが室内競技会で成功させた記録です。一方、東京世界陸上で樹立した6m30は、屋外での自己最高記録となっています。
屋外6m30と室内6m31はどう違う?屋外競技と室内競技では、会場の環境が異なります。屋外は風や気温などの影響を受けやすく、室内は天候による変動が比較的小さくなります。
ただし、室内だから自動的に高く跳べるという単純な話ではありません。助走路の状態、競技環境、選手のコンディションなどが記録に影響します。
- 屋外最高記録:6m30(2025年9月15日・東京)
- 室内最高記録:6m31(2026年3月12日・ウプサラ)
- 現在の男子世界記録:6m31
重要なのは、6m31が単なる室内限定の好記録ではなく、世界陸連に公認された男子棒高跳びの世界記録であることです。屋外の6m30と室内の6m31を比較する際には、記録を出した場所と世界記録としての公認状況を分けて理解する必要があります。
男子棒高跳びの歴代記録を変えた選手たち- 1912年・マーク・ライト:世界陸連の前身団体による男子棒高跳び最初の公式世界記録として4m02を記録。
- 1963年・ブライアン・スターンバーグ:5m00を成功させ、人類初の5m突破を達成。
- 1985年・セルゲイ・ブブカ:6mの壁を突破し、競技の新時代を切り開く。
- 1994年・セルゲイ・ブブカ:屋外で6m14を記録。
- 2014年・ルノー・ラビレニ:室内で6m16を成功させ、長年の記録を更新。
- 2020年・デュプランティス:6m17を成功させ、世界記録保持者となる。
- 2025年・デュプランティス:東京で6m30を記録。
- 2026年・デュプランティス:ウプサラで6m31を成功させ、世界記録を更新。
特にセルゲイ・ブブカは、1984年から1994年までの間に14回連続で世界記録を更新した歴史的選手です。デュプランティスは東京大会で14度目の更新を達成し、2026年3月には15度目に到達しました。
この記録更新の積み重ねは、単純な数字の競争ではありません。選手が自身の限界を1cmずつ引き上げることで、競技全体の到達点を変えているのです。
【初心者向け】棒高跳びの仕組みとルールをわかりやすく解説
棒高跳びは、長くしなるポールを使って高いバーを越える陸上競技です。英語ではPole Vaultと呼ばれます。
走高跳と同じく高さを競う種目ですが、大きな違いは、ポールを使って助走のエネルギーを上方向の運動に変換することです。スプリント、体操、筋力、空中での身体操作を組み合わせた高度な競技といえます。
棒高跳びの基本的な動作は5段階- 助走:選手がポールを持って助走路を走り、跳躍に必要な速度を得る。
- 突っ込み:ポールの先端を地面のボックスに差し込み、踏み切る。
- ポールのしなり:ポールが大きく曲がり、助走によって得たエネルギーの一部を弾性エネルギーとして蓄える。
- 身体の引き上げ:選手が身体を振り上げ、逆さになるような姿勢から身体を伸ばしていく。
- バー越えと着地:身体をバーの上に通し、反対側の安全マットに着地する。
見た目には、ポールが選手を空中へ放り上げているように見えます。しかし実際には、助走で得た運動エネルギー、ポールの弾性、選手の筋力と技術が一体となって跳躍を生み出しています。
競技の基本ルール- 各高さにつき最大3回まで試技できる。
- バーを落とさずに越えれば成功となる。
- 選手は現在の高さをパスし、次の高さに進むことができる。
- 高さを問わず3回連続で失敗すると競技終了となる。
- 最も高い高さを成功させた選手が優勝する。
- 同じ高さで並んだ場合は、失敗回数などの基準で順位を決める。
ここで注意したいのが、3回の失敗は同じ高さだけに限られないことです。例えば、ある高さで2回失敗し、次の高さでも1回失敗すると、合計3回の連続失敗で競技終了になります。
また、選手が途中の高さをパスすることも戦術の一つです。体力を温存して高いバーに集中するのか、確実に記録を残すのか。試技順や失敗回数まで含めた判断が勝敗を左右します。
【ポールの素材と歴史】木製からグラスファイバー、カーボンへ
棒高跳びを理解するうえで欠かせないのが、ポールそのものの進化です。現在のように6mを超える跳躍が可能になった背景には、競技用具の素材開発があります。
木製ポールから竹製ポールへ棒高跳びのルーツは、川や溝などを長い棒で越える動作にあります。初期の競技では、トネリコやヒッコリーなどの木材が使用されていました。
その後、軽くてしなりやすい竹製ポールが普及します。竹は木材よりも柔軟性があり、跳躍の効率を高める素材として活用されました。
1936年のベルリンオリンピックでは、日本の西田修平と大江季雄が銀メダルと銅メダルを獲得しています。当時の日本選手も竹製ポールを使用していました。
金属製ポールからグラスファイバーへその後、鉄やアルミニウムなどの金属製ポールが登場しました。しかし、重さや柔軟性の面で課題があり、現在の競技を大きく変える決定打にはなりませんでした。
大きな転換点は1950年代から1960年代にかけてのグラスファイバー製ポールの登場です。
TDK Techno Magazineの棒高跳び解説によると、1960年代初頭にグラスファイバー製ポールが導入されたことで競技は大きく変化しました。
グラスファイバーはガラス繊維を樹脂で固めた複合材料です。軽さと強度を両立しながら、大きく曲がる性質を持っています。製造時の繊維の配置や構造を調整することで、ポールのしなり方を設計できる点も特徴です。
現在のカーボン素材とポールの性能現在の競技用ポールには、グラスファイバーに加えてカーボンファイバーを組み合わせた製品も使われています。
カーボン素材は軽量で強度が高く、設計の自由度もあります。選手の体重や助走速度、技術に合わせて、ポールの長さや硬さ、反発特性を選択します。
ただし、硬いポールが必ずしも優れているわけではありません。選手の体格や技術に適合しなければ、十分に曲げられず、効率よくエネルギーを利用できない可能性があります。
つまり、ポールは単なる道具ではなく、選手の身体能力を記録に変換するための重要な競技装備なのです。
【観戦ガイド】世界陸上棒高跳びの見どころとよくある誤解
棒高跳びは、バーを越えたかどうかだけを見ていると、競技の奥深さを見逃してしまいます。特に世界トップレベルの選手同士の勝負では、助走から着地までの一連の動きに注目すると面白さが増します。
観戦時に注目したい5つのポイント1. 助走のスピード
ポールを持ったまま高速で走り、正確なタイミングで踏み切れるかが重要です。助走速度は跳躍のエネルギー源になります。
2. ポールの曲がり方
踏み切った瞬間にポールがどれだけしなるかに注目してください。大きく曲がったポールが元に戻る動きは、棒高跳びならではの見どころです。
3. 空中での身体操作
選手が逆さになり、身体を伸ばしてバーを越えるまでの動きには、高度な体幹と身体制御が必要です。
4. バーの揺れ
身体が通過した後、バーが大きく揺れても落ちなければ成功です。成功と失敗の境界を見極める緊張感があります。
5. 試技の選択
選手がどの高さをパスし、どこで勝負するかも重要です。記録だけでなく、試技の組み立てにも注目すると、競技の戦略性がよくわかります。
ネット上で混同されやすい3つのポイント誤解1:東京大会の6m30が2026年現在も世界記録である
これは正確ではありません。東京大会の6m30は2025年当時の世界記録ですが、2026年3月にデュプランティスが6m31を成功させています。
誤解2:37大会連続優勝が現在も続いている
37大会は2025年東京大会の時点の数字です。その後40大会まで伸びましたが、2026年6月7日のストックホルム大会で敗れています。
誤解3:ポールの反発力だけで高く跳べる
ポールの性能は重要ですが、それだけでは6mを超えられません。助走速度、踏み切り、身体の引き上げ、空中姿勢など、複数の技術が高い水準でそろう必要があります。
【プロの結論】棒高跳びの本当の価値は技術と科学の融合にある世界陸上の男子棒高跳びを評価する際には、単純に最高記録だけを比較するのではなく、選手の技術、用具の進化、競技環境を総合的に見ることが大切です。
デュプランティスの6m31は、優れた身体能力だけで説明できる数字ではありません。長年にわたる技術の積み重ね、ポールの選択、助走の精度、試技の判断が組み合わさった結果です。
また、カラリスやマーシャルのようなライバルが高い記録を出すことで、デュプランティス自身もさらに高い水準を求められます。東京大会の6m30が競技の到達点ではなく、次の記録への出発点になったことが、2026年の6m31によって証明されました。
【世界陸上の棒高跳び】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:2026年現在、男子棒高跳びの世界記録は何mですか?
A1:6m31です。2026年3月12日、スウェーデンのウプサラでアルマンド・デュプランティスが成功させた記録で、同年7月に世界陸連によって公認されました。
Q2:2025年東京世界陸上の男子棒高跳びで優勝した選手は誰ですか?
A2:スウェーデン代表のアルマンド・デュプランティスです。2025年9月15日の決勝で6m30を成功させ、世界記録を更新するとともに世界選手権3連覇を達成しました。
Q3:屋外と室内の世界記録は違うのですか?
A3:競技環境と記録を出した場所が異なります。デュプランティスの屋外最高は東京大会の6m30、室内での最高は2026年ウプサラ大会の6m31です。6m31は現在の男子世界記録として公認されています。
Q4:デュプランティスの無敗記録は何大会ですか?
A4:東京大会では37大会連続優勝でした。その後40大会まで伸びましたが、2026年6月7日のストックホルム・ダイヤモンドリーグでカーティス・マーシャルに敗れ、連勝が途切れました。
Q5:棒高跳びのポールは何でできていますか?
A5:現在は主にグラスファイバーやカーボンファイバーを組み合わせた複合材料が使用されています。軽量でしなやかさと強度を両立でき、選手の体重や技術に合わせた設計が可能です。
Q6:棒高跳びは何回失敗すると失格になりますか?
A6:高さにかかわらず3回連続で失敗すると競技終了です。途中の高さをパスすることもできるため、試技の順序や戦略が順位を左右します。
世界陸上男子棒高跳びの2025年東京大会では、アルマンド・デュプランティスが6m30の世界記録を樹立し、世界選手権3連覇と14度目の世界記録更新を達成しました。
しかし、2026年11月現在の世界記録は6m31です。3月のウプサラ大会で自身の記録をさらに1cm引き上げ、15度目の世界記録更新を実現しました。
一方、2026年6月には40大会連続優勝が途切れ、ライバルのカーティス・マーシャルが勝利。エマノイル・カラリスも6m20を超える力を示すなど、男子棒高跳びの競争は新たな局面を迎えています。
棒高跳びの魅力は、選手の身体能力とポールの素材技術、緻密な戦略が一つの跳躍に集約されることです。竹からグラスファイバー、カーボンへと進化したポールの歴史も、世界記録を押し上げてきました。
次に世界陸上やダイヤモンドリーグで男子棒高跳びを見るときは、6m31を超えるかどうかだけでなく、助走、ポールのしなり、空中姿勢、ライバルとの駆け引きにも注目したいところです。デュプランティスが次に6m32を成功させるのか。そして新たな挑戦者がその壁を脅かすのか。男子棒高跳びの記録競争は、まだ終わっていません。
主な事実確認資料: 世界陸連の公式競技結果・世界記録公認発表・選手プロフィール、BBC Sport、TDK Techno Magazine、ダイヤモンドリーグ公式発表。